• 文字サイズ
  • 小
  • 中
  • 大

インフォリンクでつなげる いい未来へ!環境、エコ住宅、エコカー、食、教育、医療などの「いい未来を創る」ための情報をみんなで共有しよう!


エコカー住宅に住もう!エコカーに乗ろう!|生物多様性って?|エネルギーのこと|地球温暖化のこと|環境について語る|国内の取り組み海外の取り組み環境について学ぶ|エコ用語辞典|書籍紹介|団体紹介

R水素社会 解体新書

kaitai


R水素とは、水を無尽蔵の自然エネルギーで電気分解してつくる水素のこと。R水素を取り入れることで、世界じゅうに無尽蔵にある自然エネルギーを、もっと上手に使いこなすことができます。また、R水素はつくるときも使うときも有害なガスをほとんど出さず、水や空気を汚しません。R水素社会は、エネルギーから始まるさまざまな問題を、包括的に解決するホリスティック・ソリューションなのです。


そこでは、風力や地熱、太陽光などのエネルギーが、どのように電力や乗り物の燃料、冷暖房や温水シャワーになるのでしょうか。そのしくみを、ひも解いてみましょう。


1. 再生可能エネルギー発電

kaitai_001


「発電」とはそもそもどんな仕組みでしょうか?火力発電・水力発電・原子力発電などの言葉は耳にした事があって、いくつか方法があるようだ、ということは知っていると思います。ところが、実のところ、どの発電方法も基本的にやっていることは同じでなのです。


化石燃料社会の発電所では、「なんらかの熱」で水を沸騰させて水蒸気に変え、水蒸気の勢いでタービンをまわしています。この「なんらかの熱」を生み出すために、石炭・石油・天然ガスを燃やすのが火力発電。原子炉内で濃縮ウランを核分裂させるのが原子力発電です。言ってみれば、お湯をわかすという目的のために、現在選ばれている手段が「化石燃料の利用」だということになります。


さらに、これらの方法では、化石資源の採掘・運搬、石炭・石油・天然ガスの燃焼、ウランの濃縮により温室効果ガスを排出します。また、化石燃料は地球上の限られた場所にしか存在せず、量も限られているので、奪い合いの原因になっています。


賢い文明が次に選ぶのは、無尽蔵で、世界中どこにでもあり、水や空気を汚さない発電方法。地熱・風力・太陽熱・中小水力などの再生可能エネルギーでタービンをまわしたり、太陽光発電のような化学的な方法もあります。


2. 余剰電力で水の電気分解

kaitai_002


自然エネルギーだけでなく、なぜ水素が必要となるのか。それは、電気は貯めておくのが難しく、送電線に流せる電気の量は決まっているからです。


発電の現場では、24時間態勢で電力の需要に合わせてタービンをまわしたり止めたりして、発電量を調整しています。電力会社は、出力の調整が不得意な原子力をベースロード、石炭をミドルロード 調整がやりやすい石油と天然ガスをピークロードというように使い分けて、送電線がパンクしたり供給が足りなくなって停電が起こらないように調整しているのです。


自然エネルギーのうち、地熱発電や海洋温度差発電は、24時間365日安定的に発電することができるので、現在は原子力発電が担っているベースロード電源向きと言えます。逆に、最も需要の多い季節や時間帯に合わせて発電をすると、それ以外の時間は電力が余ってしまいます。


一方、太陽光発電や風力発電は、日照や風があるときのみ発電します。いずれにしても、再生可能エネルギーだけでは、電力の需要に合わせた供給は望めません。そこで、供給の波を需要の波に合わせるために、発電量が需要を上回ったときに(余剰したときに)蓄積しておく蓄電装置が必要なのです。そうでないと、例えば需要の少ない夜間に強風が吹き、許容量以上の電力が送電線に入り、送電線がダメージを負うことになってしまうからです。


また、蓄電装置として最も身近なのが「電池」。最近では、世界各地の風力発電所で、出力安定化のためにNAS(ナトリウム硫黄)電池が併設される例が増えています。しかし電池には、長時間の蓄電が難しい、ハイテクなために高価で一社独占になりやすい、劣化しやすい、廃棄時の環境負荷が大きいというデメリットがあります。普段の生活の中でも、電化製品のバッテリーが本体と比較して高額だったり、すぐに劣化することは、よくありますよね。


そこで、電気分解によって電力を水素にし、水素のかたちで貯蔵するという方法が登場します。水素は、電池と比較して長時間貯めておくことができ、水素タンクが安価で寿命が長く、廃棄時の環境負荷が小さいというメリットがあります。また、余剰電力を水素にすることで、蓄積するだけでなく、運びやすくしたり、利用価値を広げることができます。


R水素社会が最も進むデンマークのロラン島では、風力発電所の出力安定化に、NAS電池のような電池ではなく水素を利用する取り組みが始まっています。


3. 水素の貯蔵、運搬

kaitai_003


余剰電力から生まれた水素は、液体アンモニア化したり、気体のままパイプラインで運びます。


現在のシステムでは、発電所でつくられた電力は、高圧電線・変電所・電線を通って需要者まで運ばれ、そこで電灯や機械の動力源や熱源に変換されて使われます。


一方、自動車・飛行機の動力源であるガソリン・ジェット燃料や、都市ガス・プロパンガスは、電力とは別の系統で生産・運搬・供給されています。水素は、これらの化石燃料供給インフラを使って運ぶことができます。


水素の元素記号H。これに、空気中の窒素Nを加えることで、NH3=アンモニアになります。アンモニアを液化(20℃では0.857MPaで液化)すると、既存の液体燃料輸送用タンクローリーや、灯油の販売網を使って運ぶことができます。


また気体のままで運ぶ場合、日本全国の都市部で全長23万8827kmにわたって整備されている都市ガス導管網が使えます。世界的に見て高い安全基準をクリアしている耐候性・耐久性・耐震性に優れた日本のパイプラインは、水素脆性(水素原子が、サイズの小ささゆえにパイプの金属組織に入り込み、金属の強度を弱める性質)についても、従来どおりの定期的な点検・交換さえきちんと行えば大きな問題にはならないといわれています。


さらには、一部の民間企業がすでにプロトタイプを完成させている、トラックでの運搬が可能な水素供給ユニットがあります。言い換えれば、水素をつくる場所から使う場所へ運ぶ機能と、圧縮した状態で車に充填する機能を併せ持ったマシーン。R水素社会がまわり始めれば、こういった創意工夫が次々と現れてくるでしょう。


4. 水素を使う

以上のようにして製造・運搬されたR水素は、最終的にどのように役に立つのでしょうか。 端的に言うと、水素は電力・熱・動力として利用でき、ジェット燃料・ガソリン・灯油・プロパンガスといったあらゆる燃料に取って代わることができます。具体的には、以下の4つの方法があります。


燃料電池の化学反応で電気と熱に


kaitai_004


料電池は、水素と酸素の化学反応で電力と熱をつくります。これを各家庭やマンション、住宅地に置くと、発電とともに出る熱を給湯や暖房、寒冷地であれば路面凍結防止システムに利用でき、便利で高効率です。また、燃料電池をコンパクトな発電機と位置づけて利用したのが燃料電池自動車。車の上で燃料電池発電し、その電力で動く電気自動車です。


燃やして自動車エンジンの動力に


kaitai_005


水素が持つ点火すると燃える性質を利用するのが、水素エンジン自動車です。通常のガソリン車では、ガソリンと空気の混合気をシリンダ中に吸入し、この混合気をピストンで圧縮したあと点火・燃焼・膨張させてピストンを往復運動させています。水素エンジン自動車も大まかなメカニズムは同じで、燃焼させる燃料をガソリンから水素に変えたものです。


燃やしてガスタービン発電の動力に


kaitai_006


ガスタービンは回転式圧縮機で燃焼用空気を圧縮して燃焼器に送り込み、燃料を燃焼器に吹き込んで燃焼させます。その際に発生した高温高圧の燃焼ガスでタービンを回転させる内燃機関。「無尽蔵の自然エネルギーで発電する」の項で蒸気タービンについて述べましたが、つまりは、その蒸気の代わりにガスを使う発電機ということになります。大規模火力発電所で発電に利用されているほか、重量や体積の割りに高出力が得られることから、ヘリコプターや航空機の動力源として使われています。このガスに、水素を利用することができます。


水素化合物の可能性

水素(H)は、空気中の窒素(N)と合成するとアンモニア(NH3)になります。アンモニアにすることによって、液化して運びやすくなるだけでなく、農業用肥料に変身します。現在、主に石炭からつくられている農業用肥料にとってかわれる可能性があるのです。このように、Rな水素は、他の元素とくっつくことで、エネルギー以外の価値を生み出すクリエイティブな存在です。


  • エコ用語辞典
  • エコ住宅用語辞典
  • 家庭菜園辞典

  • インフォリンク・ジャパンについて
  • サイトマップ

エコカー住宅に住もう!エコカーに乗ろう!|生物多様性って?|エネルギーのこと|地球温暖化のこと|環境について語る|国内の取り組み海外の取り組み環境について学ぶ|エコ用語辞典|書籍紹介|団体紹介